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​セラピーの種類

 個人療法 

 個人療法では、面談室で起こる全てのディテイルが大切にされます。なぜなら、ディテイルを大切にすることで、問題解決につながる「変化の瞬間」を期待することができるからです。そして、この「変化の瞬間」は、告げ知らされるという形で、必ず向こうからやってきます。  問題解決につながる「変化の瞬間」とは、セラピストにとってもクライアントにとっても、未知な経験です。この経験は、わずか数十秒で、偶然に起こり、その場を圧倒し、過去も未来も蹴散らす「まさに、今」という瞬間です。「変化の瞬間」は、沈黙の時に訪れるかもしれないし、咳払いの時に訪れるかもしれません。何気ない挨拶の時に訪れるかもしれないし、過去を思い出している時に訪れるかもしれません。この「変化の瞬間」をクライアントが経験し、それにセラピストが立ち会うことは、問題解決において決定的な意味を持ちます。  なぜならば、この「変化の瞬間」が、知覚と情動と感情と思考と行動を再構築させる、化学反応だからです。この時に、クライアントが本来持っている自然治癒の能力が最大限開放され、個人の歴史、経験、過去と現在の関係、失望と希望などが、もう一度再構成され、問題解決を望むことが可能になります。そして、その時クライアントは、必ず「自由」の感覚を感じるでしょう。  そのためにセラピストは、面談室で起こる体験のディテイルを、全身を空気振動感知器のようにして感じ取ろうとします。基本的に非指示的で、話の主導権を持とうとしません。自分の賢明さや知識を披露することもしません。話題は、来談者が何を経験したかが中心になります。  来談者とセラピストの関係は、来談者が教師であり、セラピストが学習者です。このセラピストとの学習的な態度によってしか、常に告げ知らされる形でしかやって来ない「変化の瞬間」を捉えることはできません。 ​

 家族療法 

 家族療法は、家族の誰かを加害者や被害者と断定せず、家族の関係自体が病んでいると考えます。そのために、まず、その家族が持っている関係性を明らかにし、その上で、関係性の矛盾が変化するように働きかけます。 ​ 典型的な例を示します。夫が妻と距離を取りたいので、仕事に逃げる。妻は寂しいので、子供に同情してもらう。子供は両親の不仲を調整したいので、精神疾患になって自分に両親の注目を集める。夫婦は子供が心配なので、夫婦喧嘩の数が減る。 この場合、この子供をIP(患者とされた者)と呼び、家族システムの矛盾を表現していると捉えます。この関係性の相互作用に注目する家族療法は、1950年代から個人療法と対比する形で成立してきました。対比する形というのは、個人療法が原因と結果を直線的な因果関係と捉えるのに対し、家族療法は原因と結果を円環的に捉えます。例えば、Aの結果がBであると考えるだけでなく、BもまたAの結果であると考えます。これを家族全体まで押し広げて、家族を一つのシステムであるとするのが、家族療法の基本的な理論です。

 TEACCHプログラムによる心理教育 

 TEACCHプログラムは、1960年代にDr. Eric Schoplerによって提唱されました。彼は、自閉症スペクトラムの原因を環境ではなく、生まれつきであると主張しました。  そして、彼は、自閉症スペクトラムの人の持つ5つの認知傾向を明確にしました。この認知傾向を利用することで、有効な教育方法を開発しました。それがTEACCHプログラムです。  自閉症スペクトラムの人は、聴覚情報に比べる視覚情報の優位、心の理論、注意の向け方、実行能力、暗黙的学習に特徴を持ちます。これらの特徴を適切に理解することで、現実への対応能力の向上が望めます。